2026年、イギリスは旅行者に二枚の請求書を差し出した。一つは入国許可証(ETA)、もう一つは観光税である。ところが、その摩擦が逆説的に、旅をもっとも遅く、もっとも鮮明なものにした。
出発三日前、最初の風景は携帯電話の画面だった
2026年2月25日から、イギリスは韓国を含むビザ免除国の旅行者に電子渡航認証(ETA)を義務づけた 事実。「UK ETA」アプリでパスポートと顔写真を登録し、手数料を決済すれば、ほとんどは数分以内に承認されるが、最大で営業日3日かかることもあるため、出発の3日前の申請が推奨されている 事実。手数料は2026年4月8日から£20に引き上げられた——GOV.UK公式サイトで確認済みの事実だ 事実。一度承認されれば2年間有効である 事実。
たいしたことのない手続きだが、その手続きが旅の感覚を変えた。「ただ航空券を取ればよかった国」が、入国前に国の許可を一度通さなければならない国になった。摩擦が一つ増えたのだ。
飛行機ではなく夜行列車を選んだ理由
ロンドンのユーストン駅でCaledonian Sleeperに乗り込んだ。ロンドンで眠りにつき、スコットランドで目覚める、150年の歴史を持つ夜行列車だ。2026年、この路線は30年ぶりにバーミンガム停車を加え、35を超えるスコットランドの目的地へとつながる 事実。飛行機なら一時間半で終わったはずの距離を、一晩かけて走る非効率。ところが、その非効率がいま、ヨーロッパで「スロートラベル」という名で再び売られている 事実。速く消費する旅に疲れた人々が、移動そのものを経験として取り戻したがっている、というわけだ 推定。
夏のメニューには〈Outlander〉から着想を得た料理と、俳優サム・ヒューアンのウイスキー「The Sassenach」が並ぶ 事実。揺れる食堂車での一杯は、到着する前にもう旅が始まっているという合図だった。
エディンバラ — 5%の税を払いながら考えたこと
エディンバラは2026年7月24日から、イギリス初の法定観光税(Visitor Levy)を導入する。宿泊費の5%を最初の5泊まで、付加価値税を加える前の金額に課す 事実。市当局は、年間最大で約5,000万ポンドを文化・遺産・観光管理に再投資すると明らかにした 事実。ロンドン・マンチェスター・バーミンガムも、それぞれ異なる経路で観光税を推し進めている 事実。
レシートの5%を見ながら、私はこれを「ぼったくり」と読むべきか「都市の自己防衛」と読むべきか迷った。核心はオーバーツーリズムである。観光客が都市のインフラと住まいを圧迫し、住民の生活の質を下げる現象だ 推定。無限に歓迎される客ではなく、コストを伴う客として扱いはじめたこの都市が、かえって正直に感じられた。
摩擦は旅を台無しにするのか、それとも濾し分けるのか
入国前のETA、滞在中の観光税。表面的には、どちらも旅を煩わしく、高くする。旅行産業が追い求めてきた「摩擦ゼロ」の正反対だ。ところが、ハイランドをゆっくり通り抜けながら浮かんだ仮説はこうだった。摩擦は旅の敵ではなく、フィルターなのかもしれない。三日前の申請を強いる手続きは、衝動的な旅を計画する旅へと引き戻し、5%の税は、都市を使い捨ての背景として消費する代わりに、その維持費にしばし加わらせる。
完固たる事実はこうだ。良い旅とは、摩擦のない旅ではなく、摩擦の代価を払うに値する旅だということ。
2026年 イギリス 実用情報
· ETA:出発の少なくとも3日前に「UK ETA」アプリで申請を推奨、2年有効、手数料£20(2026.4.8に£16から引き上げ — gov.uk/etaで確認)
· エディンバラ観光税:2026.7.24より宿泊費の5%、最初の5泊が上限、宿泊費のみに課税
· Caledonian Sleeper:ロンドン・バーミンガム発、個室キャビンは繁忙期に早期完売